MAGAZINE取材記事
MANAGEMENT 2019.02.15

日本上陸40周年を迎えたタワーレコードが手がける『タワーアカデミー』とは?

音楽・欧米文化のエバンジェリストとして、長くカルチャーを牽引してきたタワーレコードが仕掛ける次なる手。最先端テクノロジーによって次代のカルチャーを紡ぎ出し、学びと出会いの場を提供する『タワーアカデミー』について、校長の伊能美和子さんに聞いた。

タワーアカデミーから、次世代の音楽・エンタメというカルチャーの楽しみ方をいち早くお届けする。

『タワーアカデミー』をスタートするにあたっての発端のお話からお聞かせください。

今年で40周年を迎えたタワーレコードは、日本に上陸して以来、音楽、欧米文化のエバンジェリストとして、次代のカルチャーを紹介し提供する役割を担ってきました。音楽はもちろんのこと、まだ見ぬ新しいカルチャーの種も、いち早く発見して、育てたり愛でたりする中でビジネスにしていくというスタイルは、当社の強みであり、大切な役割でもあります。

一方、近年でメディアの在り方は一変しました。すでにユーザーと音楽・エンタメとの出会い方が変わり、ユーザーの時間やお金の使い方も40年前とは全く違うものになっています。今後、テクノロジーの進化はますます加速します。とりわけ次世代モバイル通信「5G」(※1)の実現によって、メディアの在り方と、音楽・エンタメの楽しみ方はさらに飛躍的な変化が訪れます。

次世代の音楽・エンタメの在り方を見据えたときに、店舗というリアルな場所を拠点にして長くカルチャーを牽引する役割を担ってきた当社が担えるのは、これから先の未来へ向けたエバンジェリストとしての役割。未来志向をもって、次世代の音楽・エンタメというカルチャーの楽しみ方をいち早くお届けする役割があるだろうという思いが『タワーアカデミー』の発端となりました。

タワーレコードは、店舗というリアルな場所を持ち、5Gを始めとした新たなエンタメを創出していくテクノロジー技術も持ち合わせています。この“リアルとデジタルのハイブリッド”という強みを活かして、今の時代に暮らすみなさんのフレッシュな感性と、最先端のデジタルテクノロジーをつなぎ、アーティストやクリエイターから知識と技術を学ぶことで、新たな才能が生まれるようなアカデミーをご提供したいと考えています。


一般的に手が届かないと思われているような技術を、広く開放していきたい。

『タワーアカデミー』のカリキュラムはどのようなものを?

『TouchDesigner講座〜Basic編〜』は、オーディオビジュアルツール『TouchDesigner』の基本的な操作方法から活用方法を学びます。あまり聞き慣れないツール名かと思いますが、プロジェクションマッピングを想像していただけるとイメージしやすいと思います。これは建物やオブジェにCG映像を映し出し、音楽とともに幻想的なビジュアルを作り出す超高度技術です。『TouchDesigner』をマスターすればプロジェクションマッピングやメディアアート、VJ用コントローラーといった映像や音に関するシステムをより身近に組み上げることが可能になります。

今後『TouchDesigner』が広く普及した際には、例えば結婚パーティの演出や、お子さんの運動会の映像を素敵に編集したり、町内会イベントを盛り上げるメディアアートを作ったりする際に使われるだろう、と。高度な技術と知識が必要なため大規模プロジェクトや、大型イベントでしか味わえないと思われていた映像編集技術が、とても身近になると考えています。

複数の作曲家やアレンジャー作詞家が共同で楽曲制作方法を学ぶのが『オンラインツールを活用した作曲法 コーライティング講座』です。オンライン上で楽曲制作でき、クリエイターが場所を選ばずに楽曲背作に参加することが可能となります。今後、5Gが実現されると、コーライトの楽曲制作環境はさらに広がりを見せると考えています。

『タワーアカデミー』では、一般的に手が届かないと思われているような技術を、広く開放していきたいと思っています。そうしたスキル、知識と出会って、しっかりと学べる場所をご提供することで、これまでになかったようなアイデアがアウトプットされ、そこにファンが生まれるマーケットづくりの一翼となれば。また一方で、次代を担うアーティストやクリエイターに活躍の場を作ることもできるのでは、とも考えています。


「LIFE MUSIC COMPANY」として、
人生にまつわるあらゆる音楽との出会いを演出して提供して、人々の人生に携わっていく。

では、今後のタワーレコード、タワーアカデミーの展望をお聞かせください。

タワーレコードは何よりも音楽への愛にあふれている会社です。こんなにも愛が強くて、音楽のプロフェッショナルが集まっているコミュニティは他にはないと思います。そうした当社で働く社員の魅力を、これからの時代にどうやって生かしていくかと考えたとき、やはり社員が今以上に活躍できるようなオープンイノベーションを起こしていくことだと思っています。これまで主に店舗でのCD販売に発揮されていた能力を、より視野を広く捉えて、一人ひとりの社員が社内外で多彩なつながりを持つことで、新しいビジネスを作っていくことも十分可能だと思っています。

そうした思いから、音楽との出会いの場所を演出する人を作る使命はそのままに、店舗からさまざまな場作りを志す決意の表れとして、店舗のことをストアからプレイスという発想にしました。その場のひとつとして『タワーアカデミー』があります。

タワーレコードは40周年を期に企業理念(ミッション・ビジョン・バリュー)を「LIFE MUSIC COMPANY」と新たに掲げました。人生にはいろんな音楽が彩っていると思います。「LIFE MUSIC」は造語ではありますが、人生にまつわるあらゆる音楽との出会いを演出して提供して、人々の人生に携わっていくー-これからもそんな企業を目指していきます。

そんな中で、みなさんよりも少し先の未来をご提示して、次世代の楽しみ方を提供してくというミッションを、『タワーアカデミー』では担っていきたいと考えています。

※1 高速・大容量データ通信を実現する次世代の移動通信システム。実現すると、通信速度、容量が劇的に増え、多端末接続も可能となる。